【職員が語る】NPOって儲かるの?就職先として大丈夫?わかりやすく解説します!

この記事は現NPO職員である管理人がNPOについて書いた記事です。

NPOを転職先として考えている人やNPOについて知りたい人に向けた記事です。

(※この記事は2021年4月に更新されました)

 

どうも!DKOです。

実は僕、NPO法人で働いて5年目になります。

NPO法人と聞くと

え?お給料出るの?
とか
ボランティアじゃないの?
とか聞かれることがよくあります。
他にも、「NPOに転職してみたいけど、不安」という相談も受けることがありました。
今回は現役のNPO職員である僕が、NPOについて徹底解説をします!

NPOとは何か。わかりやすく解説!

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そもそも、NPOとはNon Profit Organizationの略で、特定非営利活動法人、つまり、営利目的ではない法人です。

世の中の会社は物やサービスを売ることで対価を得ていますが、NPO法人は営利目的ではない活動で対価を得ています。

例えば、貧困問題や、環境問題、紛争・戦争、犬の殺処分・・・などの問題の解決を目的としているのです。

 

現在日本には約50000のNPO法人が存在しています。

内閣府:特定非営利活動法人の認定数の推移

 

ちなみに国から「公共性がより高いNPO」と認められた場合には「認定NPO法人」となります。

「認定NPO法人」に寄付をすると税制優遇を受けることが可能になります。

つまり、寄付を集めやすいということですね。

こちらの「認定NPO法人」は日本に1200団体ほど存在しています。

 

有名NPOランキング

NPOといってもピンと来ない方も多いと思います。

そこで、NPO業界でも有名な団体をいくつか紹介します。

 

1位:国境なき医師団日本

国境なき医師団 MEDECINS SANS FRONTIERES

ノーベル平和賞も受賞した国境なき医師団も、NPO法人です。

紛争や自然災害、貧困などにより危機に瀕した人びとに、独立・中立・公平な立場で緊急医療援助を届けています。

2020年度の収入は13,869,924,567円となっています。NPO法人で100億円越えはバケモノですね笑

ちなみにこれは「日本支部」のみです。

日本で事務局員として働くとしても、専門性や高い語学力が求められます。

 

2位:ワールドビジョン・ジャパン

水と食糧のための募金|国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン

ワールドビジョン・ジャパンは広く世界の子供へ寄付で支援を届ける団体になっています。

NPOでありながらNGOでもあります。

2020年度の収益は60億円となっています。

 

3位:ジャパン・プラットフォーム

ご案内】ジャパンプラットフォーム 第22回「共に生きる」ファンド募集開始 | みやぎ連携復興センター(れんぷく)

ジャパン・プラットフォームはNGOのサポートを行う団体です。

政府やNGO、経済界の橋渡し的存在です。

2020年度の収益は50億円になっています。

 

4位:ピースウィンズ・ジャパン

ピースウィンズ・ジャパンのプレスリリース|PR TIMES

紛争解決だけではなく、自然災害などの支援を行っている団体です。

2020年度の収益は約48億円となっています。

ちなみに、犬の殺処分を防ぐピースワンコ・ジャパンとは全くの別物です。

 

5位:国連UNHCR協会

募金・寄付で国連の難民援助活動に協力を。 | 国連UNHCR協会

難民支援を行なっているのが国連UNHCR協会です。

国連難民高等弁務官事務所の国内委員会のひとつです。

2020年度の収益は60億円ですが、そのほとんどを国連本部に献上しています。

 

NPOの収入源は何?

NPOは「活動内容が非営利であること」が条件です。

ですので、「利益を上げてはいけない」というわけではありません。

先ほどの例にもあるように、団体によっては数十億、数百億の利益を出している場合もあります。

 

DKO
でも、非営利活動でどうやって収入を得ているの??
と疑問に思うと思います。
NPOの収入源は主に4つです。
  • 会費・寄付…NPO法人の正会員からの会費や、サポーター、クラウドファンディングなどの寄付
  • 助成金…NPO活動を支援する財団などの支援団体による資金提供
  • 受託事業…行政から委託を受けて得る収入
  • 自主事業…独自のサービスによる事業収入(イベント、講演会、物販品、サービスからの収入など)

 

「自主事業」での収入が多いところは、あまり多くありません。

事業で収入を得ることができるのであれば、NPOである必要がありませんからね。

 

大きい団体や歴史のある団体は「会費・寄付」で成り立っているものが多いですね。

ユニセフや国境なき医師団、あしなが育英会などを想像していただければ良いかと思います。

 

そして、最近増えているのが「受託事業」です。

行政が人手不足やアウトソーシングの推奨で、NPOに業務を回すことが増えています。

国としてはあまりよくないことですが、行政はNPO抜きには業務を全て行うことができないのが現状です。

 

NPO法人職員の給料について

NPO法人職員の給料について解説します。

NPO法人職員は平均で260万円、高い人で372万円となっています。

(独立行政法人労働政策研究・研修機構))

図表2画像

 

正直かなり、低いですよね。

もちろん「国境なき医師団」などのトップNPOであればそれなりのお給料はもらえます。

一方で、「社会を変えたい!」という意識だけで赤字覚悟で活動している団体もあります。

他の企業では考えられないほどの低い賃金で働いている人もいるので、この数値になるのでしょう。

 

そもそも「お金にならないから誰もやらない仕事」をするのがNPOなので給料が低いのは当たり前かもしれません。

また、業務内容が介護・保育・教育・清掃などのNPOが多いことも要因です。

こういった業種は営利企業でも給料が低い傾向にあります。

 

ちなみに僕DKOは勤続5年目ですが、年収はだいたい400万円です。

NPOとしてはかなり貰っている方ですが、株式会社であればもっと貰えるのかな・・・とは思うことがあります。

 

【ぶっちゃけ】NPOで働くメリットデメリットや向いている人について解説

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NPOで働いてみたい!という人も多いのではないでしょうか。

僕もNPOに勤めて早5年。NPO業界で多くの人を見てきました。

NPOで働くメリットデメリットや向いている人について解説をしていきます。

 

NPOで働くメリット

僕が感じたNPOで働くメリットは「なんで仕事をしているんだろう?」と迷わないことです。

他の仕事であれば「自分の仕事って役に立っているのだろうか?」「お客さんを幸せにしているのだろうか」と悩むこともあります。

しかしNPOは「社会貢献すること」が仕事なので、自分の仕事全てが社会に良い影響を与えていると感じながら、働くことができます。

簡単に言えば、「やりがいがある」ということですね。

 

また、基本的に営利目的で活動をしていないので、自分で考えたことをすぐに実行に移すことができます。

損益計算やマーケットリサーチなどをしなくていいですからね。

普通の企業では自分の企画を通すのに数年かかるという話も聞きますが、NPOであれば思いつけば直ぐに実行に移すことができます。

 

そして、裁量が大きこともメリットです。

これはNPOに限らず、ベンチャー企業でも同じですが若くても仕事を任せてもらえます。

NPOはとにかく人手が足りないので、どんどん仕事を任せてもらえます。

そのため、成長も早いと言えます。

 

NPOで働くデメリット

まず、給料が低い。これが大きなデメリットですね。

もちろん規模にもよりますが、都内で年収350万円ぐらいであれば十分でしょう。

400万円貰えるNPOはそこまで多くありません。。

仕事にやりがいがあることは間違いありませんが、仕事が楽なわけではありません。

コスパはあまり良くないと言えますね。

 

僕の場合は1年目は手取り15万円でボーナスなしでした笑

奇跡的に企業が成長して年収400万円になったのはかなりラッキーでした。

 

また、転職がしにくこともデメリットです。

NPO業界はまだまだ認知度も低く、転職しようにも「ボランティアじゃないの?」「ちゃんと利益を考えて仕事できるの?」と疑いの目で見られることがよくあります。

NPOは特殊なキャリアなので、転職を考えると不利ですね。

 

最後に、研修や福利厚生などが整っていないことが挙げられます。

社員を研修をしてじっくりと育てることはあまりありません。

また、社員に長く働いてもらうよりは、即戦力の社員に短気で働いてもらうことを期待しています。

なので「自分のスキルを役立てたい!」や「若いうちから大きな最良で働きたい」という人は向いているでしょう。

 

NPO法人に向いている人=熱い気持ち!柔軟な人、泥臭く働ける人

NPO法人に向いている人はどんな人でしょうか。

 

まずは熱い気持ちがあるかどうかです。

どんな会社で働いても社会に貢献することができます。

その中でも、NPO法人で働きたいと思える熱い気持ちがあるかどうかが大切です。

僕の同僚を見ていても長く勤務できる人はパッションを持って働いている人ですね。

「こんな社会おかしい!」「こんなに困っている人がいる!」という怒りに近い感情を持てる人が向いていると思います。

その点、僕はそこまでの気持ちを持っているわけではないので、周りと温度差を感じることは多いですね笑

 

また、柔軟な考えを持って働くことができることも必須のスキルです。

社会を良くするためには様々なアプローチをする必要があります。

そのために仕事内容がコロコロ変わることを受け入れなくてはいけません。

NPOで働くと1年ごとに仕事が変わるのは当たり前、1ヶ月前と違うことだって頻繁にあります。

他の会社のように「同じ商品を作り続けて20年」なんてあり得ません笑

変化を楽しんで、受け入れられる柔軟さは必要ですね。

 

そして泥臭さ。

多くのNPOは、現場での仕事があります。

ホームレスに支援をしたり、街角に立って募金を呼びかけたり、公民館で勉強を教えたり、保護犬を世話したり・・・

そういった現場の仕事を嫌がらずにできることが必要です。

 

また、マニュアルもなく指針もない中で業務を行うことも度々あります。

一人で仕事をしなくてはいけない場合もあります。

そんな中でも「とにかくやってみる」という精神でできるかどうかNPOでフィットして働く鍵ですね。

 

NPO法人では実際にどんな人が働いているの?

僕が5年の経験でみた、NPO法人で働いている人を列挙してみます。

 

  • 文系大学院から就職(あまりお金に興味なし?真面目な人が多い)
  • 大企業を定年退職(定年後に社会貢献をしたいと考えていた。いい人が多い)
  • 外資系企業出身(もう十分にお金を稼いだ人。外資系金融とかが多い。すぐに辞める笑)
  • 特別のスキルを持っている人(デザイナーや広報、営業など。業務委託や副業で働く人が多い)
  • 公務員出身(行政の縦割りに飽き飽きした人。熱意を持っている)

 

こんな感じでしょうか。基本的に「普通の企業で働いていました!」みたいな人は少ないですね。

やはり変わった人が多い印象です。

しかし、優しく嫌な人は少ないので、働きやすいとは思います。

 

現役社員が教える!良いNPOを見分ける3つのコツ

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それでは、最後に転職先のNPOの良し悪しを見つけるコツを解説していきます。

NPOは他の会社よりも外部に向けてオープンなので、しっかりと調べた上で転職をしましょう。

NPOは人の出入りが多く、それだけ多くの退職者がいることも事実です。

皆さんにとってぴったりのNPOが見つかるといいですね!

それでは解説していきます。

 

1:寄付金収入の割合が多いNPOは運営がしっかりとしている!

気になるNPOがあれば、決算書や事業報告書を調べてみましょう。

そして収入の中に「寄付金での収入」がどれだけあるかをみてみましょう。

全体の収入の中の7〜8割以上が寄付金で占められていたら、運営がしっかりとしている証拠です。

 

そもそも寄付金は「信頼の証」なので、有名で基盤がしっかりとしているNPOほど集めることができます。

さらに、寄付金はよほどの不祥事がない限りは、増えることはあっても減ることはありません。

なので、毎年最低限の収入は見込めるので職員への給料への還元や、新規事業へのチャレンジがしやすくなります。

 

逆に収入に占める寄付金の割合が少ないとどうでしょうか。

行政からの委託事業や、助成金は毎年継続するとは限りません。

「区の予算の削減で、今年はありません」「今年は別の団体にお願いすることになりました」ということも十分にあり得ます。

完全なる「不運」で仕事がなくなることなんてザラです。

たとえ収入が大きくても、継続性がないので安定した運営とは言えません。

 

助成金を何回も申請したり、委託事業を受けるために営業をしたり、本来のNPOの活動に時間を割けなくなります。

というか受託事業を受けての仕事ばかりなら、それはもはや行政の下請け業者にすぎませんよね笑

 

よって寄付金を多く集めるNPOは運営も安定していますし、給料も比較的よく、NPO本来の活動を集中して行えます。

 

2:現場の仕事が「少ない」こと

NPOとしてイメージするのは、ホームレスへの炊き出しや、犬の保護、子どもへの無料教育などですよね。

こういった「現場の仕事」が多いと、運営も不安定で給料も少ない傾向にあります。

 

というのも、そもそもホームレスへの炊き出しや、犬の保護、子どもへの無料教育をしても「儲からない」のです。

だからどの企業も手をつけずに問題が悪化するのです。

つまり、こういった仕事をすればするほど赤字になります。

それを補うために、寄付などをNPOは集めています。

 

逆に言えばこういった現場の仕事が少なければ少ないほど、運営は安定します。

具体的には「啓発・啓蒙活動」や「寄付金集め」「他団体への援助」などです。

こういった仕事は実際の労力は少なく、多くのお金を集めることができるのです。

 

たとえばユニセフはめちゃくちゃ有名ですが、具体的に何をしているか知っていますか?

おそらくほとんどの人が知らないと思います笑

ユニセフはお金を集めて、そこから人件費を抜いて他の団体や国にお金を渡しているだけです。

実際に、井戸を掘ったり、学校を建てているわけではありません。

 

いや!俺は困っている人をこの手で助けたいんだ!
と言うのであれば、問題ありません。
ただ、そういった仕事は大変なわりにお金のリターンは少ないことは覚悟してください。
NPOの中には赤字覚悟で(というか赤字で)活動している団体はたくさんあります。
もしNPOである程度給料をもらって、かつ長く働きたいのであれば現場の仕事が少ないことが良いでしょう。

3:ボランティアをしてみよう!

多くのNPOがボランティアを受け入れています。
もし、気になるNPOがあれば実際にボランティアをしてみるのが良いでしょう。
実際にボランティア活動を通して見えてくるものもあるはずです。
ボランティアをすれば社員とも話す機会があるので、ざっくばらんに仕事について聞いてみるのもいいでしょう。
NPOにとってボランティアは大切な支援者なので、丁寧に対応してくれるはずです。
そして可能であれば代表や上層部と直接話す機会があるとベストです。
NPOであれば、他の企業よりも簡単にフランクに話す機会を得ることは可能です。
そこで団体の方向性や課題、そして理念に共感できるかをしっかりと聞いてみましょう。
僕はNPOに5年働いて、合わなくて短期離職をする人を多く見かけてきました。
理想だけが高く、実際の現場でガッカリする人も少なくありません。
せっかく能力があってもミスマッチの採用は双方にとって良くありませんよね。
NPOに転職を考えるのであれば、まずはボランティア活動を通して真剣に考えるようにしましょう
イメージだけで入ると痛い目に合いますよ!

まとめ

最近は「社会貢献を仕事にしたい!」という人も増えていると聞きます。

その中でNPOが就職先になる人も少なくないのではないでしょうか。

ただ、キャリアが積みにくいことや運営が安定しない、給料が安いなどの問題が山積みです。

理想や理念だけ共感しても続きません。

 

一方で僕のようにNPOの仕事が肌にある人もいます。

少しでも多くの人が、「NPOで働いてよかった!」と思えるように記事を書きました。

もしわからないことや、気になる点があればコメントをください!

 

それでは!