この記事はトップをねらえ2!の考察とつまらない理由を解説した記事です。
トップをねらえ2!を観て、「よくわからない」「つまらない」と感じた人に向けて書かれています。
(※この記事は2021年8月に更新されました)
どうも!DKOです。
2021年8月よりAmazon Primeでエヴァンゲリヲンで有名な庵野監督の作品が多く観ることができるようになりました。
そこで僕も兼ねてから興味のあったトップをねらえ2!を観ることができました。
そこで感じた感想は
トップをねらえ2!とは
『トップをねらえ2!』(Aim for the Top2! DIEBUSTER)とはGAINAXより設立20周年記念作品として制作されたOVA作品です。
発売は2004年11月から2006年8月で全6話。1988年の作品『トップをねらえ!』の続編に当たります。
アンドロイドである「ノノ」がトップレス(パイロット)の「ラルク」とともに宇宙怪獣と戦うストーリーになっています。
トップをねらえ!とのつながり
前作であるトップをねらえ!とのつながりは、随所に観られます。
まずは全体のストーリーとして、人類VS宇宙怪獣という構図であること。
主人公と師匠的立ち位置である「お姉様」の2人がパイロットとして戦うところ。
そして「新世紀エヴァンゲリヲン」などに代表される「セカイ系」のストーリーとなっています。
※セカイ系とは「主人公(ぼく)とヒロイン(きみ)を中心とした小さな関係性(「きみとぼく」)の問題が、具体的な中間項を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終わり」などといった抽象的な大問題に直結する作品群のこと」であり、代表作として新海誠のアニメ『ほしのこえ』、高橋しんのマンガ『最終兵器彼女』、秋山瑞人の小説『イリヤの空、UFOの夏』の3作が挙げられる(Wikipediaより)
そして、時系列的にももちろん前作のトップをねらえ!と繋がっています。
トップをねらえ!では超重力の影響により12,000年の月日を経て主人公のノリコとお姉様(カズミ)は地球に帰還します。
そしてそのラストシーンはトップをねらえ2!のラストシーンとも重なりました。
つまり、トップをねらえ2!はトップをねらえ!の約12,000年後を描いた物語なのです。
あらすじ(ネタバレあり)
前作から12,000年後の、遠い未来の太陽系。人類は「宇宙怪獣」と通称される存在と戦い続けており、その戦力となるのが「バスターマシン」と総称される兵器群と、「超・能力」によってそれを動かす「トップレス」と呼ばれる少年少女たちでした。
そんなトップレスの中にあってバスターマシンの19番機「ディスヌフ」を駆り、撃墜王として最前線で戦うクールな少女、ラルクは、偶然顔見知りになったアンドロイドの少女、ノノから「お姉様」と慕われることになります。これも、前作と同じ「主人公」と「お姉様」の関係がありますね。
「ノノリリ」なる人物に憧れ、宇宙パイロットになることを目指しているノノは、小型の宇宙怪獣を生身で倒してしまうような型破りのアンドロイドだったが、バスターマシンを動かせる才能を持っているかどうかは不明でした。
こうして宇宙怪獣を倒しながらも、物語の核心は土星の衛星タイタンの地下に埋まっている、異星人のバスターマシンと噂される変動重力源の正体へと移っていきます。
ノノは自分のためのバスターマシンを探して冥王星へと向かうのと時を同じくして、タイタンで変動重力源の発掘が進められるが、埋まっていたのはバスターマシンではなく、人類に仇なす「本物の宇宙怪獣」でした。
今までノノたちが戦っていたのは、「本物の宇宙怪獣」を倒すために昔の人類が作っていた「バスターマシーン」だったのです。
これらのバスターマシーンは、自己進化の果てに皮肉にも「宇宙怪獣」と同じような外見になっていました。また、トップレスたちの能力を「宇宙怪獣」と誤認して攻撃していたのです。つまり人類とバスターマシーンは長年同士討ちをしていたことになります。
その事実に気づいた時には圧倒的な強さでトップレスを破壊する「本物の宇宙怪獣」が目覚めてしまいます。
しかしその時ノノは自分こそが過去の人類が作り出した「バスターマシン7号」であることを思い出します。
ノノはその力を使い、「本物の宇宙怪獣」を退けます。
その後ノノは英雄と褒め称えられる一方で、ラルクたちトップレスは用無しとされ両者の関係はギクシャクとなります。
そして物語は最終局面を迎えます。
ラルクを主導として、最大の敵である巨大な本物の宇宙怪獣「エグゼリオ変動重力源」を地球をぶつけることで倒す作戦が始まります。
しかし最終的にはノノが地球を守りつつ、ラルクとも和解し、最大の敵である巨大な本物の宇宙怪獣「エグゼリオ変動重力源」を倒します。
そして最後には、前作のノリコたちが地球に帰還する様子を、今作では地球側でラルクが見ているシーンで終わります。
トップをねらえ2!詳しい用語解説
基本的にこの作品では、詳しい説明が描かれません。
視聴者はなんとなく雰囲気で、その設定を理解するしかありません。
そこで、この物語で難しい部分の用語解説をしていきます。
ノノ=バスターマシン7号
これはわかると思いますが、主人公であるノノは、人類が過去に作り出した最高決戦兵器「バスターマシーン7号」です。
ノノはナノマシンで構成されていて、限りなく人間に近いアンドロイドと認識されています。そのため食事をしたりお風呂に入ったり、感情があったりします。
老科学者に発見されるまでは彗星の中で眠っており、自分がバスターマシーンであることをずっと忘れていました。
また「ノノリリ」とノノが読んでいるのは、前作の主人公「ノリコ」であると推測されます。
自分がバスターマシーン7号であると気づいた後は、最大の敵である巨大な本物の宇宙怪獣「エグゼリオ変動重力源」を倒し、ブラックホールの根源である特異点を持ち去るためにラルクのもとを去ります。
宇宙怪獣=過去の人類のバスターマシーン
こちらもボーッと見ていると分からなくなるところです。
ノノが自分がバスターマシーンと気づくまで人類が戦っていた「宇宙怪獣」は「バスターマシーン」でした。
ずっと昔の人類が作った無人のバスターマシーンは、長い年月を超え宇宙怪獣と似た形になっていました。
そして、トップレスの力を宇宙怪獣と勘違いをして攻撃していたのです。
その勘違いが判明した後は、ノノ(バスターマシーン7号)とともに「本物の宇宙怪獣」を倒すために戦います。
変動重力源=「本物の」宇宙怪獣
土星の衛星「タイタン」に埋まっている変動重力源。
その変動重力源の正体は誰にもわかりませんでした。
物語では、「バスターマシーンなのではないか??」という憶測が建てられていましたね。
しかし、その正体は「本物の」宇宙怪獣でした。
変動重力源(本物の宇宙怪獣)の力は大きく、トップレスでは歯が立たないほどでした。
ちなみに最後の敵、エグゼリオ変動重力源は、前作の太陽系絶対防衛線作戦時に消失しブラックホール化した戦艦ヱクセリヲンであり、「エグゼリオ」という呼び名は長い時間の経過で「ヱクセリヲン」が訛ったものであるとされています。
トップレス
バスターマシーンに乗るのは、トップレスと呼ばれる若者です。
トップレストは英語で「上半身裸」という意味ですが、これは前作のトップをねらえで主人公が上着を引きちぎるシーンから来ていると思われます。
トップレスにはトップレス能力があり、その力を使ってバスターマシーンを操ります。
一方で年をとるにつれてトップレス能力はなくなり、それを「あがり」と呼び多くのトップレスが恐れています。
宇宙怪獣(本当はバスターマシーン)たちがトップレスを攻撃したように、トップレスと「本物」の宇宙怪獣には類似点が多くあります。
そのため、人間が進化しトップレスに、そしてトップレスが宇宙怪獣に進化するのではないかという説もあります。
ちなみに前作までのバスターマシーンは「縮退炉」と呼ばれるものを使って動かしていましたが、これが宇宙怪獣を引き寄せるとして封印されています。
そのためトップレスがその能力を使ってバスターマシーンを操るのですが、前作に比べてその能力は落ちているようです。
トップをねらえ2!がつまらない5つの理由
ここまで読めば、だいたいのトップをねらえ2!のストーリーは理解できたかと思います。
そしてこの作品を観て僕は
設定のスケールが大きすぎる
まず、この話は西暦14292年が舞台です。
まず、この14292年という数字に笑ってしまいます。
今から1万2000年前は、人間は文明を持っていません。
氷河期がちょうど終わるごろで、旧石器時代と呼ばれています。
人間にできることは、せいぜい火を使って蒸したり、農業の真似事がスタートした時期です。
その時にはもちろん文字もなく、現在の文明を考えることはもちろん不可能です。
じゃあ逆に今から1万2000年後は想像できるでしょうか?
もちろんできません。
文明の発達は関数的に速度が増します。
例えば旧石器時代から8000年経っても、せいぜい文字が発明されるぐらいですが、その後たった4000年で現代に至ります。
そう考えると、1万2000年後なんて想像することは不可能です。
「服」という文化がなかったり、「文字」という文化がない可能性も十分にあり得ます。
「個人」という概念すらなく、すべての人類が共同体の一部として生きる可能性だってあります。
逆に言えば、我々が想像できる世界がある方がおかしいのです。
その点トップをねらえ2!では当たり前のように登場人物は服や水着を着て、アクセサリーがあって、バーでお酒を飲みます。
飛行機にはテレビ(なんと、チャンネルボタン付き!)があり、ノノの故郷には電柱がありました。
これが2000年、いや1000年後ならまだ納得できましたが・・・
「5000兆円欲しい」というのと同じで、規模が大きすぎて一周回って安っぽくなってしまいます。
物理法則を全く考えていない
確かに、劇中ではトップレスは「超・能力」を使ってバスターマシーンを空間から出現させるなど、トンデモ理論がまかり通っています。
しかし、それは超能力という「設定」なので文句をつける人はいないと思います。
しかし、例えば「地球を移動させて、敵にぶつける」という作戦は、設定を超えて意味不明です。
百歩譲ってバスターマシーンの能力で地球を動かせるとしても、その後がツッコミどころが多すぎです。
最後のシーンで地球から前作の主人公ノリコが帰還するのを見守るシーンがあります。
それなのに、最後のシーンでは鳥がいてラルクは山に登って空を見上げています。意味がわかりません。
てか、地球はどうやって元の場所に戻ったの????
これらの事象はすべて「超能力」とか「バスターマシーンの力」とかで解決してくれるならそれはOKです。
しかし、「特異点」や「多元宇宙内に存在する時空検閲官(宇宙検閲官仮説?)部屋」など実際にある高度な物理学の用語を出して、リアル感を出すのが気に入りません笑
ゲームもアニメも同じですが、ルールがあるから面白いのです。
小学校低学年に向けたアニメならばこれでもいいのでしょうが、自分の都合の良いところだけ物理法則を無視するのは納得できません。
「人間」という設定である以上、物理法則(ルール)はキチンと守って欲しいと思います。
演出がいいだけで、中身が空っぽ
僕はエヴァンゲリヲンが好きなので、トップをねらえ2!の演出もとても楽しめました。
ワクワクする宇宙船やロボットや、敢えて古臭いフォントやネーミング、意味深なカットインやオフ、敢えての無音など男心をくすぐる演出が盛りだくさんでした。これだけでも見る価値はあると思います。
しかし、肝心の中身は「何が言いたいのか」が全くわかりません。
努力と根性というのが前作に引き続きテーマらしいのですが、努力と根性も全く印象に残りません。
一応ノノは、パイロットになるための努力をしているシーンが20秒ほどありましたが、結局は本人がバスターマシーンだったというオチです。
前作ではノリコがコーチにしごかれているシーンが多かったですが、今回はほぼありませんでした。
それなのに、最終話になりラルクがいきなり「努力と根性!!」と言い始めて
登場人物がほとんど無能
そもそも、バスターマシーンを「宇宙怪獣」と勘違いしなければ問題はありませんでした。
もしくは、変動重力源を掘り返さなければ「本物の宇宙怪獣」が目覚めることはありませんでした。
なんで、情報がそこまで伝わっていないのでしょう??そんな大切なことなぜ忘れてしまうのでしょうか??
ひょっとしたら前作の文明は滅びて、情報が伝わらなかったのかも・・・とも考えました。
しかし、前作の主人公を迎える時に「オカエリナサイ」という文字は伝わっています。(「イ」は逆でしたが)
文字が伝わっているなら情報が伝わっているはずだし、文字がわからなくても「ノリコが帰ってくる時にこの光を出せ」という情報は伝わっています。
そもそもこんな情報よりも、「バスターマシーンについて」や「変動重力源について」の情報の方が伝えるべきでしょう、どう考えたって。
結局ノノが強いだけ

まとめ
トップをねらえ2!は、キャラは可愛いし、作画よし、音楽もよくて最後の演出には感動しました。
しかし、ツッコミどころは多いし結局何が言いたいのかもわからない空っぽな作品と言えます。
美術作品としては100点ですが、真面目に観たら面白くはないです笑
小学生や中学生が見る分にはいいでしょうし、深夜にボーッと観る分にはいいと思います。
庵野監督×ガイナックスというコンビの作品でありながら、マイナーなのには理由があるということです。
それでは!